ひぃちゃんよ

ひぃちゃんよ、お主はおそらくテレビ局、それもTBSに入ったのだろう

わしの今の見立てはそうだ、アナウンサーに憧れて、赤坂で入社式をやっていたのだ

お主は自分に軸が無いと宣ったな、それは勘違いだ、人間の軸、それは始めから人間に存在するものじゃない、軸とゆうのはガンとさして本体をこていして、くるくる回るようにするためのものだ、人間の場合、それは出来方が違う、軸というのは本体にぶっさすか、本体を後付けする、つまり、本体と軸は元来完全に別のものなのだ、人の人格に於いて本体と独立したまのなんかあるだろうか?、

かしこい君だからとっくに気がついて、鬱陶しいと思ってるだろーが、一応いうとそんなもんは無い、人間の軸、とかいうのは、個人の好みの集積でしかない、好み、すなわち、連続したジェスチャーの共通性、それがさらにマクロに積み重なり、うすいトレーシングペーパーを重ねるようにだんだんとみえてくるものなのだ、そして完成されたそれをみて、われわればかな人達は軸だと思ったのだ、

だけど、それは単なる線画の重なりでしかない、そうして人間の軸というのは出来ている、お主が気がつくべきなのは、みづからが噛み殺している一枚一枚のトレーシングペーパーなのだ、時間は戻らない、それは大変な作業だろうが、お主は聡明で、かつ、繊細。ある程度は。そう、だから出来ると思う、問題はその気が付き方、わたしはお主の覚醒が破綻を持っておとづれないことを願う、あなたはうつくしい、必ず今よりもっと美しくなり、老いていったときそれは尚一層静かな深い明るさをもって、ひとびとを魅了するでしょう、その時、もしぼくのことを思い出すことがあれば、ぼくは幸せだ、それ以上のことはない、空虚に自分をせせらわらう君の声がこだまする、いつかそれが、虚ろな響きではなく、幸福と知性を裏に持つ、鈴音として響く日が来るように

 

2018/10/08